大会長挨拶


第4回日本健康促進医学会学術総会のご案内とお誘い


    このたび、第4回日本健康促進医学会学術総会を福岡国際会議場にて、来る7月7日(金)~7月9日(日)の3日間、「共同国際会議2017」と銘打って開催致します。前回の開催と同様、第39回日本アーユルベーダ研究総会、第15回日本ヨーガ療法学会研究総会とのジョイントで開催されます。

    日本健康促進医学会は、その理念として、「未病」の状態にある人を「発病」に向かわせるのではなく、「健康」に向かわせることが重要と考えられ、設立された学会であります。日本では、年々「平均寿命」は延びてきていますが、最も大事なことは、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせずに自立して健康に生活できる「健康寿命」を延ばすことです。国の施策としても、健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)を掲げ、国民の健康の増進の推進を進めているところです。主に生活習慣病が取り上げられ、栄養・食生活、身体活動と運動、休養・こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がんが取り上げられ、心身の健康増進を目指しています。

    そして、本学会の今回のテーマは「予防(医学)による健康日本」です。このような健康づくりに、感染症はあまり関与していないように思われがちですが、色んな分野で関与しています。たしかに抗生物質やインフルエンザの薬などがなかった昔に比べると、感染症は治りやすい疾患になりましたが、健康であり続けるためには、感染症に罹患しない、あるいは罹患しても重症化しないための予防が大事です。

    例えば、肺炎は、ウイリアム・オスラーが「肺炎は老人の友である」と述べているように、高齢者にとって、ありふれたそして注意すべき疾患です。最近の死因統計では、悪性腫瘍、心疾患についで、肺炎は第3位になっています。また、たとえ肺炎を発症して命を取り留めたとしても、入院することによって、寝たきりになってしまう場合も多く見られます。私たちは、実は肺炎に罹患しないように予防することが大事なのです。肺炎の原因菌で最も多く見られる菌は肺炎球菌ですが、平成26年から高齢者に対してもワクチン接種の公費負担が始まり、ワクチンによる予防効果が示されています。誤嚥性肺炎も問題になっていますが、口腔ケアが重要と言われています。歯磨きは、口腔内の菌量を減らすためにもとても大事なのです。

    統計によると、日本人男性の30%、女性の20%が肥満です。実は肥満自体も免疫力が低下すると考えられています。さらには、肥満自体がもたらす最大の合併症として、糖尿病が挙げられます。糖尿病患者では、肺炎、結核、足の皮膚感染、膀胱炎などと言ったさまざまな感染症を引き起こしやすくなりますし、また重症化してしまいます。糖尿病患者が感染症を発症すると血糖のコントロールは難しくなり、悪循環に陥ってしまいます。世界的にはいまだに広く蔓延している結核を予防するためにも、糖尿病の予防、ひいては肥満の予防が大事と考えられています。

    私が感染症を専門にしていることもあり、ここには感染症からみた予防を中心に記載させていただきましたが、感染症の予防のみならず、今回の学術総会が、是非健康増進に向けた、多方面からの予防について考える機会にしていただければと思います。「予防(医学)による健康日本」を考える有意義な場とし、ここで得られた見聞が、多くの方にフィードバックされ、多くの方々の健康につながることを祈念し、開催に当たってのご挨拶とさせていただきます。

平成29年3月吉日

第4回 一般社団法人日本健康促進医学会学術総会 大会長
下野  信行
(九州大学病院グローバル感染症センター センター長)